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日本川崎病学会とは

診断の手引き
川崎病診断の手引き改訂5版の作成の目的、経緯と変更点
厚生労働省川崎病研究班班長: 柳川 洋(埼玉県立大学)
旧厚生省川崎病研究班班長: 原田研介(日大小児科)
同 川崎病診断の手引き改訂小委員会委員長: 薗部友良(日赤医療センター小児科)
同 小委員会委員: 鮎沢 衛(日大小児科)
石井正浩(久留米大小児科)
上村 茂(和歌山医大小児科)
小川俊一(日本医大小児科)
清沢伸幸(京都第二赤十字病院小児科)
中村好一(自治医大公衆衛生)
作成の目的と経緯
 川崎病診断の手引き改訂4版は1984年に作成された。その当時は免疫グロブリン療法も普及しておらず、その後の状況の変化に対応した診断の手引きに改訂することが求められていた。
そのため旧厚生省川崎病研究班(班長:原田研介)は2000年に診断の手引き改訂小委員会を作り、検討を開始した。改訂に当たっては、疫学調査の継続性を維持するなどのために大幅修正は行わないことを基本方針とした。作成改訂原案を第21回日本川崎病研究会総会(倉敷)などに提示して多くの意見を求め、再度検討して最終案を作成した。最終案である川崎病診断の手引き改訂5版は2002年2月の厚生労働省川崎病研究班班会議で承認された。今後は川崎病全国調査も含めて、この川崎病診断の手引き改訂5版が使用されることになる。
主な変更点
1.  主要症状の筆頭にある5日以上続く発熱に関して、「(ただし、治療により5日未満で解熱した場合も含む)」の字句を追加した。これの理由としては、免疫グロブリン療法が国民健康保険の適応を受けた1989年以降は川崎病患者のおよそ85%が免疫グロブリン療法を受けていること、特に最近は世界の標準的川崎病治療法と思われる2g/kg単回投与、あるいは1g/kgの1-2回投与の割合が増加していること、そして治療開始日に関しても、日本の多くの経験深い小児科医は診断の手引きの主要症状数が5項目に達する前から何らかの治療を開始していることである。そうなると4病日以前に治療(現時点では主に免疫グロブリン療法)を開始した場合にすぐに解熱して、発熱期間5日以上を満足させない症例が存在する。この解熱が自然に起こったものか、あるいは治療によるものかの判断は主治医の判断によるが、治療により発熱期間が4日以内に短縮したとは発熱期間が5日以上あったもの、すなわち発熱項目を満足するものとして対処することにした。
2.  主要症状の記載順序を医学生や小児科以外の医師などにも教えやすく、覚えやすいように体の上から下への順番に変更した。ただし発熱は第1項目に、頚部リンパ節腫脹は、発生頻度を考慮して第6項目に残した。また頸部リンパ節腫脹に関しては、備考欄に発生頻度が約65%と他の主要症状に比べて低いと記載した。
3.  川崎病容疑例は軽症型川崎病と誤解されていたり、診断や治療開始の遅れのために冠動脈障害が発生していることがある。この点に関して、備考欄に「5.主要症状を満たさなくても、他の疾患が否定され、本症が疑われる容疑例が約10%存在する。この中には冠動脈瘤(いわゆる拡大を含む)が確認される例がある。」と記載した。これによりこれらの容疑例に対して断層心エコー検査を含む早期診断と適切な時期に適切な治療を開始する必要性が喚起された。容疑例の診断に役立つBCG接種部位の変化の重要性を強調するために、診断の手引きの裏面写真にはBCG接種部位変化が掲載されることになった。
4.  最近の治療の進歩を反映するために、備考欄に致命率が0.1%前後であると追加した。なお、参考条項は変更しなかった。
下の画像をクリックすると、PDFファイルにて
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川崎病(MLCS、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)
診断の手引き(122KB)
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